こんなに遅くなって誰が読むのか……?と思いつつ、本誌ではなく、コミック31巻で本当の完結なので、ここまで追いかけたのなら感想もちゃんと完結させたいと思ってキーボードを叩いています。

すごく時間がかかったので、超大作なんじゃないかと思われるかもしれません。思うか?

全然そんなことはないです
ただの一読者の感想です。

もしあなたと一緒だったら嬉しいな
違ったら、そっかぁ 違ったかぁ



・中尉のこと、尾形のこと

そもそも、鶴見中尉のことを私はずっと勘違いしてた。というかはじめの思い込みを引きずってました。
「機械みたいな人だ」→「感情を排して目的のために任務を遂行する人だろう」と。

めちゃくちゃ感情の人だった。

というか、この漫画、想像以上に感情の人だらけだった!

描いていたのは、描きたかったのは、色んな人間だったのだなぁと、最後まで読み終わって少し時間を置いた今、思います。
(本当に多種多様なキャラクターが出てきますもんね。)

特に終盤になるにつれ、スピード感溢れる展開に対して、個々の過去や思想などの話が重く、バランスに苦労されたんじゃないかと思う節もあります。そこらへん割ときっちり描写されるというか、読者に任せるよ~好きに想像して~ではないですよね。

アシリパさんが尾形を射たのはショックでした。そういう展開になるかもしれない、ということを考えもしなかったので。(樺太編の目を射てしまった経緯があったので、逆にそれ以上のことはないだろうと思っていたのかも)
最後の最後に、「手を汚すのは俺がやる アシリパさんは知恵だけ貸してくれ」に真っ向からぶつかる形になる。でも、今回突然降って沸いたことではなく、今まで偶然杉元が前に立って、囚人の皮を剥いで、敵をなぎ倒してきたけれど、もうずっと共に戦ってきたんですよね。一蓮托生だとアシリパさんは考えていたと思う。杉元のしたことは私のしたことでもあると。

最後まで読んで改めて考える。
尾形にとっての勇作さんは何だったんだろう。
勇作さんは既に亡くなっていて、全ての情報は尾形の語りでしか分からない。勇作さんは「兄様」に良い感情があったのは事実だと思うけれど、それをその時尾形が受け入れられなくてもよかったんじゃないかな……と思ってしまう。不遇な環境を覆す術が今より遥かにない時代なので、自分は自分でいいじゃんと簡単には言えないのは分かるんだけど、それでも、それでももっと他に方法あったんじゃなかったのかなって……。撃ってしまったらもうそこで何もかも凍結してしまう。後戻りできない方法ばかり試しているなぁ。。
勇作さんの顔が見られたのは、やっと向き合えたということで、最後は救われたということになるのかな。尾形……私にとっては最後まで何考えてるのかよく分からない人だった。



・牛山先生、土方さん

囚人sは生き残ったとしても、死刑囚だから生涯逃げ続けることになり、それでもOKの白石か、ロシア行っちゃった岩息さんかみたいな道しかないとは思う。牛山先生、確かに「最高」の幕引きで「最強」になったんだけど、でも、気持ち的には、生きてて……ほしかったですね……。(アシリパさんの目の前で無残にというのもつらかった)
牛山先生の「お嬢」呼びが大好きでした。

それから土方さん。「悔しい」と言うのがすごく好きです。
確かに、いつまでも刀を振り回すのが好きな人に、「我が人生に悔いなし」という瞬間は訪れないよなぁ。それでこそ土方さん。史実も鑑みて、消息不明エンドじゃなかろうかと勝手に想像していたので、亡骸を見るのはつらいのですが、きちんと終わりが用意されていたんだなぁという納得もあります。
対決する相手も、年齢・戦争経験・出身藩と真逆のような相手で、あぁなるほどなぁ。そこと組ませるんだなぁと思いました。

無限(暴力)列車も運転士さんたちも災難だ。。
ゴールデンカムイといえば!の熊も最後に出てきて嬉しかったです。また熊か!という意見もあるかもしれないけど、ゴールデンカムイといえば熊!ヤバイ熊!最初のボスがクライマックスにも出てくる展開大好物。

自分ごとには色々鈍感な杉元~……!
そんな杉元とアシリパさんのやりとりにうーーーーんって頭を捻る白石がめちゃくちゃ愛しいです。いいやつだなぁ……泣
尾形も初登場時とだいぶギャップがあるけど、私は白石も相当だなーと思う。誰にも深入りしない男がこんなとこまでついてきている!

そして壮絶な決闘を経て、掌からこぼれ落ちた小さな骨を見送る鶴見中尉の表情がたまらない。言葉にならない。絵を見て。
最初に書いたように、私が鶴見中尉のことをずっと勘違いしていたのはあるけど、「あぁ 人間だ……」と思った。最後まで鶴見中尉は鶴見中尉だったけれど、最後に見せたのは悲しい顔だった。

全部お前の責任だぞ、ウイルク。か……
アシリパ=ウイルクの娘が、アシリパ=ウイルクに見えているんだろう。それにしてもきつい言葉だね。何が発端だったのかと聞かれれば、国とか、当時の歴史的背景とか、広くて曖昧なものになってしまう。「誰か」と聞かれればウイルクになるから、そこに責任を見いだすしかなかったのかなとぼんやり考えていました。

こんな弱々しい「俺は不死身の杉元だ」今まで聞いたことない、つらいよ。。
(本誌だとここで週が変わるから本当にいてもたってもいられなかった)


そしてエピローグ……


い き て た ;;;;

前にもこんなシーンあった気がする。おにぎりもぐもぐ。

金塊を巡る争いから関係ないところで(そりゃそうだ)、ちゃんと新しい一歩を踏み出していた梅ちゃん。このあっさり具合、そういうものだよね~。何か妙に安心しました。みんな生き抜いていかないといけないからね。
ちゃんとこの二人の着地点が描かれてよかった。
杉元は昔の杉元に戻ることはないけれど、これでやっと自分の未来へ踏み出せると思う。


谷垣さんとこはすごいことに!
漫画的な子沢山ぶりなのに、谷垣もマッちゃんもがっしりしているのが妙にリアル(笑)二瓶さんとこと逆なんだねぇ……食費を心配しちゃう!がんばれがんばれセクシー大きな子熊ちゃん!


白石の去り方……いい。行く先がアレだけども(笑)◯◯列車編が終わって遊郭編が始まる!始まらない!
そして結末のところになるけど、なんだかんだ二人のことしっかり覚えてるのが憎い。

ヴァシリさん……!
少し遡りますが、「姿は見えないが銃をとり落とす」という「狙撃手の死」の描写がとてもよかった。狙撃手としては死んだけれど生きたヴァシリさん、死んだけれどヴァシリさんの中で狙撃手として生き続けた尾形。
ファンブックの中で画家になりたかったと描かれていたので、じーんときました。
(尾形、三億円の男になったのがちょっと面白い)

鯉ちゃんと月島さんはええコンビやなぁと思うけど、向かう先が戦争になるのがつらい(これは完全に神視点だけど)

最後まで存在をにおわす?房太郎さん、物語も終盤になってから出てきたキャラだったけど、改めて異質だったなぁ。主人公たちの精神面にグイグイ踏み込んでくるキャラ、珍しい。
さっきも書いたけど、二人のこと覚えててちゃーんと手紙まで届けてくれる白石マメですよね。個人的に白石王政?は2、3週間で瓦解してそうと思ってるのですが、白石ならどこでもうまくやるでしょう。

そして、杉元とアシリパさん(少し背が伸びた?)の背中をこの作品のなかで見送ることができて、これ以上言うことがありません。私の中で二人は「最高の相棒」でした。榎本さんのところを訪れたり、アイヌ民族のために活動したりしたことは描かれていても、杉元とのことはこの描写だけなんですよね。それがいいです。それでいいです。未来は好きに想像するとして、素晴らしい相棒としての現在の様子が見られて幸せです。

加筆の中尉は正直びっくりしましたね。(一読目、急に何の話が始まったんだ?!と混乱して気づかなかった。)
生きてるということはつらいことだけど、そのつらさが救いになることもあるんじゃなかろうか。つらいと感じる機会すら彼の妻子にはもうないので……。
個人的には鶴見中尉に関しては、消息不明エンドの余韻というかぽっかりあいた隙間のような感じが好きかな。


アシリパさんの歩んだ道について、本誌では正直描写が足りないのではと思ったので、コミックで大幅に加筆があったのはよかったです。
アシリパさんの意気込みで終わるのかなと思っていたので、アシリパさんが取り組んだこと、成したことも言及されていておっと思いました。
このあたり、どうまとめるかめちゃくちゃ難しかっただろうなと思うし、100人中100人が納得する結末はない。現実に忠実にということだけだったら、杉元やアシリパさんのいた意味はなくなるし、現実と乖離しすぎていたら違和感だろう。
確かに、意気込みで終わっちゃったらここまで命をかけて戦ってきた「答え」が描かれないことになってしまう。

私もこの感想を書きながら悩んでいます。教科書の知識がギリギリで(それすら怪しいかもしれない)、気になった書籍を読んでもみましたが数冊。こうやって感想として発信するうえで、間違ったこと、不適切なことを言っていないか?
特に現実の歴史を舞台にした物語であれば、漫画で描かれなかった事実もあることを頭に置いておきたいですが、まずこの漫画を読んだ一個人があるとも思っています。

ゴールデンカムイ、面白かったです。

どんなことがあっても、木曜になれば楽しみにしている漫画が読めるというのは大きな励みでした。
圧倒的に知らないことが多い世界だったけれど、ゴールデンカムイで題材にされていることに限らず、世の中のほとんどのことがそうだなと思う。これだけ毎週楽しんだんだから、仕事やらなんやら自分にできることを頑張って、少しでも自分の脳味噌に入れる知識を増やせるように、誰か何かの助けになれるように、頑張りたい。それくらい楽しみをたくさんもらった。

7年半にもわたり日常にハリとツヤとときめきと胃もたれと生きがいをいただき、ありがとうございました。

おかげで曜日感覚は死にました。
あまりに木曜中心に生活しすぎた……。




ありがたいことにゴールデンカムイ展も行くことができました。終了後に通販も予定されているみたいなので、ぜひ図録購入のご検討を。もうほとんど全部収録されています。当日のカメラいらないくらい。私も駆け足でしか見られなかったので大変ありがたい……。北海道でもやるんだねー!よかった。北海道はゴールデンカムイを応援しています(公式)




す………………っごく遅くなったけれど、自己満足で感想もちゃんと完結させたく、牛歩で書いておりました。来春から新生スピナマラダ(タイトルは変わるらしい)もやりますね!今は北海道の形にあいた心の穴を、色んなもので少しずつ埋めている毎日ですので、もうここの更新はありませんが、同じ作品を追いかけた皆々様の幸せを願っております。
どうかお元気で~!!!どうもありがとうございました。


2022年12月31日
大晦日に何してんねん きつつき