今週、読むたび苦しくなってしまうのですが、何回読んでも、感想がぶれるというか、気持ちが定まりません。
きっと読む方によって十人十色の感想が出てくると思います。

過去回想って、その人を紐解くヒントがちりばめられているものだと思うのですが、尾形の回想は逆に謎を深めるばかり……。


引き続き、尾形と勇作さんの話。


あっ 岡田さん!玉井伍長!二階堂は……どっちだ?!?
岡田さんと玉井伍長が既に鬼籍に入っていることを考えると、洋平でしょうか。
勇作さん、大人しそうに見えて、戦場では非常に闘争心に溢れていて驚きました。
真っ先に敵陣に飛び込んでいく。本当に優等生だ。


旅順攻囲戦。
二〇三高地。

夜、休戦中でも一人敵を撃つ尾形。
白兵戦では「自分が死なないよう相手を攻撃する」けれど、狙撃手は安全なところから一方的に殺しをしていくので味方からも畏怖されることがある、と聞いたのを思い出しました。

ところで。
やっぱり鶴見中尉……!!!

そう言えば革命の計画は日露戦争の前からだった。
尾形を”たらす”ことについては、103話の回想で
『第七師団は 唯ひとり残された花沢中将のご令息を担ぎ上げる
失った軍神を貴様の中に見るはずだ』
と語っていましたね。
これは結果的に勇作さんが亡くなったから言っただけで、本当は生かす方向だったのか。
(としても、勇作さんがたらされるとは思わないから、どうするつもりだったんだろう。)


現在の尾形は、太鼓を叩いてもらったり、鉢巻してもらったりして、手厚い看病を受ける。
アシリパさんやさしい……!
そしてウイルタの方々も!!

セワというお守りまでいただいちゃって。
「こんなのがあるよ」の例に「顎の痛み」があってふふっとなってしまいました。
尾形、冬の川に落ちた時もこれがあったらよかったのにね。ところで白石は病院行きな。

アハハウフフの文字が入っているけれど、この日本とロシアの境目で、過去に起きたこと、これから起こることに思いを馳せると、苦しい気持ちが押し寄せてくる。


再び回想。
男兄弟というのは 一緒に悪さ<未明にこっそり抜け出す>もするものなんでしょう?
なんか楽しそうな感じだけど、びっくりするほど悪い予感しかしない。
先導する尾形が、地獄へ案内する死神のように見えてしまいました。

あーーーー
ほら。。。。。。。

誰にも見つからないようにこっそり二人で抜けだそ☆って言って敵兵捕虜のところへ来るとか斬新すぎるよ。
公園のブランコとか、コンビニのイートインコーナーでアイス食べるとかにしときなよ。。。。。。

兄様から提案されることは大抵試していること。

旅順に来てから抱いていた疑問。

旗手の秘密。


そもそも、軍旗は帝国陸軍の象徴として非常に神聖なもので、喪失することは絶対に許されないという認識だけあったので、「他の旗手は刀を抜いて戦っているのに」というところで驚きました。片手に軍旗、片手に刀ってこと??凄すぎる……。

提案は質問になり、質問は尋問になる。

本当、このロシア兵とばっちりすぎる……。

『勇作殿が殺すのを見てみたい』のセリフは、花沢中将に言った『ただひとつ確かめてみたかった』のところのセリフと似ている気がしました。「~したい」と希望を述べているのに、その動機はよく分からない。

もちろん拒否する勇作さん。
しかしその理由。

父上の言いつけ。
偶像たること。
そうなるには、一点の曇りなく高潔でないといけない。
その”曇りなく”は、”心身”すべてに求められる。

ここからのやりとり、セリフの一つ一つに、心を裂かれるようでした。

私は、正直、勇作さんにぞっとしました。
どうしても、漫画の中で付き合いが長い尾形目線になってしまうというのはあると思うのですが。
『この世にいて良いはずがないのです』
の言葉が、あまりに鋭くて。
そして急に抱きしめたのにも、よく分からない気持ちがカッと湧いた。
なんだろう、急に触れてくれるな、みたいな。

ここについては、尾形への最後の”救い”とも取れるかもしれないです。
私は、心情を決めつけられたような気がして嫌だったのですが、読む方によって違うと思います。
(多分に恵まれた人への嫉妬もあると思う。。)

でもまぁ、尾形の言う「みんな」もちょっと当てにならないな。
みんなって誰?!言えるの?お友達二人か三人じゃないの。


二人の通ってきたレールはどこでも交わらない。
唯一最後、勇作さんの分岐点で尾形がポイントを切り替えた。


罪悪感なんてないと言いながら、血塗れの弟の幻を見るのは、何か感情があるという証拠だと思う。
振り返るシーンが恐ろしかったです。
目元は一度も描写されていませんが、尾形(花沢中将)とそっくりだったらどうしよう、なんて考えていました。

殺さない、と言っていて殺したのは、尾形の感情故だと思うのですが、それが分からない、分からないよ。。。
あんこう鍋回といい、今回のといい、かなり過去が描写されているキャラクターなのに、どんどん暗く深い淵に落ちていくような気がします。


そして、最後のコマもとても怖かったです。
アシリパさんに何を見ているのかさっぱり分からない。

いや、分からない、というか、まだ点で情報が散らばっている状況だと思うので、これからそれらが一つ一つ繋がっていくんだと思う。
本当に、読むたびうまく形にならない疑問が湧いてくるし、別の角度の感想を見ると、「あぁそれもそうだなぁ」と納得するような回でした。

ゴールデンカムイの、前に出てきた情報が後に余すことなく展開される構成がいつもすごいと思うので、ちょっと考えるのはやめて(もう脳汁漏れそう)、点と点がつながって線になる様を、一つ一つゆっくり追いかけようと思います。





先週カラーだったばかりなのに、来週もまたカラーですね?!?
一週間があっと言う間……。